2015年11月7日(東京)・8日(大阪)に行われたセミナーの報告です。糖質管理の重要性が様々な形で世の中に影響を与えている中、その中でも特に論点の1つとなりやすい「果物」をテーマにした研修会が開催されました。
前半では京都大学医学部附属病院の幣憲一郎先生が食品交換表 第7版の改定ポイントとあわせて果物の摂取に対する考え方をわかりやすく講義してくださいました。後半では、最近マスコミなどでも取り上げられることが多い話題のスーパーフルーツ「キウイ」に関して、栽培状況や安全管理に関する現地視察まで行ったFood Smile代表、管理栄養士でもある椎橋聡子先生にご講演をいただきました。ご来場いただけなかった皆さまも、是非、会場の熱気を感じてください!
【講演内容】
日本の糖尿病患者数は、これまで上昇の一途であったたが、2012年に入り若干の減少傾向を示した。
しかし、糖尿病が強く疑われる患者数に大きな変化は無く、糖尿病患者のBMIに着目した推移を調べると、1型も2型も体重が増加し、徐々に肥満傾向が強くなってきている。こうした現状を考えると、エネルギー管理に加えて、炭水化物や糖質管理の必要性を、糖尿病患者にしっかりと伝える必要があると感じている。
食事療法は、糖尿病患者にとって治療の根幹となるもの。血糖の状態を改善するためには、患者が長期間続けてきた食生活や嗜好を十分に把握した上で、アドバイスをする必要がある。例えば果物の場合、高齢者は日常的に果物を食べているが、若者はあまり食べないなど、年齢によって二極化している現状を踏まえながら、患者一人ひとりの生活スタイルにあったアプローチが必要になる。
食後の高血糖は、心血管疾患の進行に悪影響を及ぼすという報告がある。
糖尿病による合併症を予防するためには、「食後血糖値」の管理がとても重要になり、「食後血糖値」を管理する事で、血糖値の急激な上昇を予防しながら、合併症を出さずに病状を維持できると考えている。
特に異性化糖についての補足)
・「果糖ブドウ糖液糖などの糖類が含まれるコーラなどの清涼飲料を1日1回以上摂取すると肥満につながりやすいことが、多くの研究で確認されており、高カロリーの清涼飲料は、それ自体が満腹感を与えず、食事のカロリー摂取量が減らないため、結果として体重増加を引き起こしやすい」と指摘されている。
・過去に発表された疫学研究のレビューとメタ解析を行った結果、高カロリーの清涼飲料を摂取すると2型糖尿病や心血管疾患、脳卒中などのリスクが増加し、高カロリーの清涼飲料を1日に1~2回摂取した人では、摂取しなかった人に比べ、次のような変化が起こることが明らかになった。
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