糖尿病治療・食事指導の現場で活躍されている栄養士さん必見のセミナー 「糖尿病治療・食事指導の最前線」セミナー報告
  • 第一部:幣 憲一郎先生
  • 第二部:椎橋 聡子先生

京都大学医学部附属病院 
疾患栄養治療部 幣憲一郎先生

【講演内容】

  • 重要性を増す糖質と食後血糖管理
  • 食品交換表 第7版の改訂ポイントと現場での活用方法
  • 糖尿病患者の果物の位置付け 〜糖質管理と果物の適切な量〜
  • Q&A

Q&A 質疑応答

質問:JPHC Studyにおいて、「赤身肉を多く食べる男性で糖尿病リスクが上昇 →コレステロールや卵は影響なし」というスライドがありました。こちらについてもう少し詳しく教えてください。
回答:国立がん研究センター予防研究グループが公表している多目的コホート研究の成果として、「男性において、肉類、特に赤肉(牛肉・豚肉)の摂取により糖尿病発症のリスクが上昇する可能性が示されました。」(JPHC Study より引用)とあります。
理由としては、
・肉に多く含まれるヘム鉄や飽和脂肪酸
・調理の過程で生成される焦げ
などがインスリン感受性やインスリン分泌に対して悪影響を与えているのではないか。
ということのようです。
調査の設計や詳細な結果については、以下をご覧ください。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3290.html

質問:糖尿病だけでなく腎症をお持ちの方についてはどのような基準や目安(対応の指針となりうるもの)を用いて考えたら良いでしょうか?また、中性脂肪の高い方や脂肪肝の方と果物の摂取についてもアドバイスがあればお願いします。
回答:ずばりの回答は持ち合わせていませんが、腎臓病の患者には病院食においてもカリウム制限の基準(2000mg/day以下)で運用されていますので、一日量を管理すれば、血清カリウム値の急激な上昇は見られず、生の果物を摂取できるように調整できます。
ただし、患者には、生の果物にはカリウムが多いことを情報提供しておくことが重要であり、「血清カリウム値の上昇により、不整脈や心停止などの問題があること」をお伝えしておくことも重要です(脅すわけではなく・・・)。

また、他の食品との調整や調理方法による減少効果を利用することを教育しておくことが重要と考えます。
中性脂肪や脂肪肝の方でも、全く果物が摂取できないことはありませんので、その方の食生活の必要優先順位によって、果物の摂取を使い分けてはいかがでしょうか?
果物によってもカリウム含有量が異なること(リンゴは少ない)、缶詰の果物はカリウムが少ないなど。

少し話題は変わりますが、血清カリウムの上昇では、たんぱく質食品(肉や魚、豆類)の過剰摂取をしていないか?海藻類の過剰は?100%果汁や野菜ジュースをたくさん飲んでいないか?ドライフルーツを摂取していないか?などを確認すると他の影響で血清カリウム値が上昇している可能性も考えられます。

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