主な疾患の診断基準一覧

高血圧について

成人における血圧の分類
分 類 収縮期(mmHg)   拡張期(mmHg)
至適血圧 <120 かつ <80
正常血圧 <120〜129 かつ <80〜84
正常高値血圧 130〜139 または 85〜89
I度高血圧 140〜159 または 90〜99
II度高血圧 160〜179 または 100〜109
III度高血圧 ≧180 または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90

※至適血圧・正常血圧・正常高血圧を総称して「正常域血圧」と呼びます。

(診察室)血圧に基づいた脳心血管リスクの層別化
血圧分類
リスク層
(血圧以外のリスク要因)
I度高血圧 II度高血圧 III度高血圧
リスク第一層
(危険因子がない)
低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第二層
(糖尿病以外の1〜2個の危険因子、メタボリックシンドローム※がある)
中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第三層
(糖尿病・CKD・臓器障害/心血管症、3個以上の危険因子のいずれかがある)
高リスク 高リスク 高リスク

※リスク第二層のメタボリックシンドロームは予防的な観点から以下のように定義する。正常高値以上の血圧レベルと腹部肥満(男性85cm以上、女性90cm以上)に加え、血糖値異常(空腹時血糖110mg/dL、かつ/または糖尿病に至らない耐糖能異常)、あるいは脂質代謝異常のどちらかを有するもの。両者を有する場合はリスク第三層とする。他の危険因子がなく腹部肥満と脂質代謝異常があれば血圧レベル以外の危険因子は2個であり、メタボリックシンドロームとあわせて危険因子3個とは数えない。

降圧目標
  診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者
前期高齢者
<140/90㎜Hg 135/85㎜Hg未満
後期高齢者 <150/90㎜Hg
(忍容性があれば140/90mmHg )
45/85㎜Hg未満(目安)
(忍容性があれば135/85mmHg )
糖尿病患者 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
CKD患者(蛋白尿陽性) 125/75mmHg未満(目安)
脳血管障害患者
冠動脈疾患患者
140/90mmHg
(できれば130/80mmHg)
135/85mmHg (目安)

※後期高齢者で収縮期血圧が140/149mmHgの場合や6mを歩行を完遂できない程度の虚弱高齢者については個別判断が必要

初診時の高血圧管理計画
血圧測定・病歴・身体所見・検査所見
二次性高血圧を除外
危険因子・臓器障害・心血管病・合併症を評価
生活習慣の修正を指導
低リスク群 中等リスク群 高リスク群
3ヶ月以内の指導で140/90mmHg以上なら降圧薬治療 1ヶ月以内の指導で140/90mmHg以上なら降圧薬治療 直ちに降圧薬治療※

※正常高値血圧の高リスク群では生活習慣の修正から開始し、目標血圧に達しない場合に降圧薬治療を考慮する

生活習慣の修正項目
修正項目 推奨内容
1.減塩 6g/日未満
2.食塩以外の栄養素 野菜・果物の積極的摂取※
コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
魚(魚油)の積極的摂取
3.減量 BMIが25未満
4.運動 心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)行う
5.節酒 エタノールで
男性:20〜30ml/日以下
女性:10〜20ml/日以下
6.禁煙  
生活習慣の複合的な修正はより効果的である

※重篤な腎障害を伴う患者では高K血症をきたすリスクがあるので、野菜・果物の積極的摂取は推奨しない。糖分の多い果物の過剰な摂取は、特に肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者では勧められない。

脂質代謝異常症について

A:脂質代謝異常症の診断基準(血清脂質値:空腹時採血)
高LDLコレステロール血症 高LDLコレステロール血症 140㎎/dl以上
境界型LDLコレステロール血症 120~139㎎/dl以上
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール<40mg/dl
高トリグリセリド血症 トリグリセリド≧150mg/dl
B:患者をLDLコレステロール値以外の主要冠危険因子の数により分けた6群の患者カテゴリーと管理目標値
患者カテゴリー 脂質管理目標値(mg/dl) その他の冠危険因子の管理
  冠動脈疾患 他の主要冠危険因子* 相対リスク TC LDL-C HDL-C** TG 高血圧 糖尿病 喫煙
A 0   <240 <160 ≧40 <150 高血圧学会のガイドラインによる 糖尿病学会のガイドラインによる 禁煙
B1 - 1*** X1 <240 <160 ≧40 <150      
B2 - 2 ×3 <200 <120 ≧40 <150      
B3 - 3 ×6 <200 <120 ≧40 <150      
B4 - 4 ×12 <180 <100 ≧40 <150      
C   ×24 <180 <100 ≧40 <150      

* 脂質以外の冠危険因子:年齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病、喫煙
** 高ければ高いほど良い
*** 糖尿病があればB2とする。
・日本動脈硬化学会2007
TC:総コレステロール LDL-C:LDLコレステロール HDL-C:HDLコレステロール TG:トリグリセリド

リスク別脂質仮目標値
治療方針の原則 カテゴリー   脂質管理目標値(mg/dL)      
一次予防:まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の適応を考慮する   LDL-C以外の主要危険因子 LDL-C HDL-C TG non-HDL-C
  I(低リスク群) 0 160未満 40以上 150未満 <190
  II(中リスク群) 1〜2 140未満 40以上 150未満 <170
  III(高リスク群) 3以上 120未満 40以上 150未満 <150
二次予防:生活習慣の改善とともに薬物治療を考慮する 冠動脈疾患の既往   100未満 40以上 150未満 <130
カテゴリーと管理目標からみた治療方針
血清脂質測定、問診、身体所見、検査所見
   
冠動脈疾患なし(一次予防)     冠動脈疾患あり(二次予防)
   
LDL-C以外の主要危険因子の評価:
加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、
糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、
低HDL-C血症(<40mg/dL)  
主要危険因子数0 1〜2 3以上
脂質管理の目標値の設定
目標達成の評価  →  薬物療法の考慮
薬物療法の考慮

参考:日本動脈硬化学会2012
    代謝疾患)メタボリックシンドローム、肥満、(脂質異常症)高脂血症、痛風、糖尿病

糖尿病について

A:糖尿病の型の区分と判定基準

(1) 早朝空腹時血糖値126mg/dl以上
(2) 75gOGTT(75gブドウ糖負荷試験)2時間値200mg/dl以上
(3) 随時血糖値200mg/dl以上
(4) HbA1c≧6.5%
(5) 早朝空腹時血糖値110mg/dl未満
(6) 75gOGTTで2時間値140mg/dl未満

    ● (1)〜(4)のいずれかの血糖値が確認された場合には、「糖尿病型」と判定する。
    ● (5)および(6)の血糖値が確認された場合には「正常型」と判定する。
    ● 上記の「糖尿病型」「正常型」いずれにも属さない場合は「境界型」と判定する。

(「正常型」であっても1時間値が180mg/dl以上の場合は、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に悪化する危険が高いので、「境界型」に準じた取り扱い(経過観察)が必要である)

B:糖尿病の診断

・別の日に行った検査で、「A.糖尿病の型の区分と判定基準」(1)〜(3)のいずれかで「糖尿病型」が再確認できれば「糖尿病」と診断できる。
・ただし、次の(1)〜(4)のいずれかの場合には、1回の検査が「糖尿病型」であれば「糖尿病」と診断して良い。
  (1) 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
  (2) 確実な糖尿病網膜症の存在
  (3) 過去に「糖尿病型」を示した資料(検査データ)がある場合

・現在検査した血糖値が糖尿病の基準以下であっても、上記の条件が満たされた記録がある場合には糖尿病の疑いをもって対応する。
(HbA1cの分布は、正常型から糖尿病型のものの間のオーバーラップが大きく、HbA1cが6.5%未満であっても糖尿病を否定する根拠にはならない)

<日本糖尿病学会糖尿病診断基準に関する調査検討委員会>

C:血糖コントロールの指標と評価
指 標
不可
不十分
不良
HbA1c値(%) 6.2未満 6.2〜6.9未満 6.9〜7.4未満 7.4〜8.4未満 8.4以上
空腹時血糖値(mg/dl) 80〜110未満 110〜130未満 130〜160未満   160以上
食後2時間血糖値(mg/dl) 80〜140未満 140〜180未満 180〜220未満   220以上

・日本糖尿病学会編:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインより引用

D:HbA1c(ヘモグロビン エー ワン シー)

正常値:5.8〜6.2%
 ヘモグロビン(Hb)は、赤血球内に存在する含鉄色素でありヘモグロビンA0とヘモグロビンA1(HbA1)に分画される。陽イオン交換樹脂によるクロマトグラフィにより、HbA1はさらに、HbA1a、HbA1b、HbA1cに分画される。HbA1cはHbA1の主分画であり、HbA0のβ鎖のN末端バリン残基が、非酵素的にブドウ糖を結合した物質である。
 Hbの寿命はアルブミンなど他の血中蛋白質に比し長いため、HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する。

慢性腎臓病(CKD;Chronic Kidney Disease)の定義とステージ分類

CKDの重要性

「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下(糸球体濾過量が60ml/min/1.73㎡未満」が3ヶ月以上続く状態を慢性腎臓病(CKD)と定義し、慢性腎臓病対策を進める取り組みが全世界的に進んでいる。腎臓病を腎機能によって層別化し、慢性腎炎や慢性腎不全などを包括した概念であり、慢性腎臓病として早期に診断・治療ができれば、透析に至る時期を先に延ばしたり、心血管疾患を減少させることが可能になる。日本でもCKDの定義や分類をとり入れ、日本でのCKD対策が進んでいる。

CKDの定義

  1. 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか

       −特に蛋白尿の存在が重要−

  1. GFR<60ml/min/1.73㎡

1、2のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する

●CKDとは、GFR(糸球体濾過量)で表される腎機能の低下があるか、もしくは腎臓の障害を示唆する所見が慢性的に持続するものすべてを包含している。
腎障害とは、腎の形態学的または機能的な異常のことを意味し、腎機能の低下は問わない。
腎障の障害例
   微量アルブミン尿を含む蛋白尿などの尿異常
   片腎や多発性嚢胞腎などの画像異常
   腎機能障害などの血液異常
   病理所見

●日常臨床では、CKDは蛋白尿とGFR<60ml/min/1.73㎡で診断する。

※GFRについては、「腎機能の評価法」を参照。

CKDのステージ(病期)分類
病期ステージ 重症度の説明 進行度による分類 GFR
(ml/min/1.73㎡)
G1 正常または高値 ≧90
G2 正常または軽度低下 60〜89
G3a 軽度~中程度低下 45~59
G3b 中程度~高度低下 30~44
G4 高度低下 15〜29
G5 末期腎不全 (ESKD) <15

透析患者(血液透析、腹膜透析)の場合にはD、移植患者の場合にはTをつける

●CKDの病期分類には、腎機能の評価指標であるGFRを用いる。シンプルに病期がイメージできるよう、ステージがGFRの15および30の倍数で区切られている。また、ステージ分類において、移植患者である場合にはT(transplantationのT)を、ステージ5で透析を受けている場合にはD(dialysisのD)をつけることで、病期をより明確に表すようにしている。

●CKDハイリスク群
  ・腎機能正常(GFR≧90ml/min/1.73㎡)かつ検尿などに異常を認めないが、CKDのリスクファクター(表1)を有する場合には定期的な尿検査(糖尿病患者では尿アルブミン/クレアチニンが望ましい)を実施し、尿検査異常を見逃さないようにしなければならない。

●CKDステージ1,2
  ・腎機能正常(GFR≧90ml/min/1.73㎡)または軽度低下(60≦GFR<90ml/min/1.73㎡)であり、かつ腎症害(≒蛋白尿)を伴う状態である。
  ・腎性検の適応となる狭義の腎疾患(糸球体腎炎、間質性腎炎、血管炎、膠原病などによる腎障害)によるCKDとそれ以外の主として生活習慣病や加齢に伴うCKDがある。
  ・糸球体腎炎、膠原病性腎障害などの可能性が疑われれば早急に腎臓専門医に紹介して診断を確定し、原疾患に対する治療を開始しなければならない。高度の蛋白尿のためネフローゼ症候群を呈する場合にも直ちに腎臓専門医の診療が必要である。
  ・高血圧や糖尿病などの生活習慣病を有する場合には、検尿異常が持続していても直ちに腎生検の適応とならないことが多い。これらの疾患についてはプライマリケア医の役割が重要である。生活習慣病に対する十分な介入をしながら、腎機能保持、心血管疾患(CVD)のリスク軽減を目指した治療を進める。必要に応じて腎臓専門医と連携する。

●CKDステージ3,4
  ・ステージ3は腎機能中等度(50≦GFR<60ml/min/1.73㎡)、ステージ4は腎機能高度低下(15≦GFR<30ml/min/1.73㎡)である。
  ・ステージ3になれば、腎臓専門医にコンサルトのうえ連携して診療にあたり、ステージ4に至れば腎臓専門医にゆでねる。ステージ3から末期腎不全への進行速度およびCVD発症リスクが有意に高まる。腎障害をきたす可能性のある薬剤(NSAIDs;非ステロイド性抗炎症薬、ある種の抗菌薬)や脱水などによる腎機能の急激な低下に注意を払う。ステージ1、2の注意に加えて、腎不全に対する治療が重要となる。

表1 CKD発症あるいは腎障害進行のリスクファクター
 ・高血圧
 ・耐糖能異常、糖尿病
 ・肥満、脂質異常症、メタボリックシンドローム(生活習慣病)
 ・膠原病、全身性感染症
 ・尿路結石、尿路感染症、前立腺肥大
 ・慢性腎臓病の家族歴・低体重出産
 ・過去の健診での尿所見の異常や腎機能異常、腎の形態異常の指摘
 ・常用薬(特にNSAIDs)、サプリメントなどの服用歴
 ・急性腎不全の既往
 ・喫煙
 ・高齢
 ・片腎、萎縮した小さい腎臓

腎機能の評価法

eGFR(推算GFR)
eGFR(推算GFR)は以下の推算式で算出する。
  eGFR (ml/分/1.73m2) = 194×Cr-1.094×年齢-0.287(男性)
  女性はこれに×0.739

●GFRの測定のゴールドスタンダードはイヌリンクリアランスである。しかし、イヌリンクリアランスの測定は煩雑なため、臨床的にはeGFRが用いられる。

●GFRの推定(eGFR)にはMDRDの簡易式を用いることが多い。しかしながら、一般に血清クレアチニン値はGFRが50%未満に低下して初めて上昇するので、MDRD式を用いても正確な腎機能の推定が行えるのは、GFRが60ml/min/1.73㎡未満の患者である。

●わが国で多く採用されている酵素法で測定された血清クレアチニン値をそのまま用いるには、改訂MDRD簡易式(eGFR推定のためのモノグラム)を用いる。

「eGFR男女・年齢別は早見表」「eGFR推定のためのモノグラム」について、詳しくはCKD診療ガイドの巻末を参照。日本腎臓学会は、2007年中を目処にGFR推算式を完成させるべく、プロジェクト「日本人のGFR推算式」を推進中。
※eGFR男女・年齢別早見表については、http://jinzou.net/をご参照。

CKD診療ガイド 日本腎臓学会編 2007より引用改変

ネフローゼ症候群の診断基準1

1.蛋白尿 1日尿蛋白量3.5g以上を持続する
2.低蛋白血症 血清総蛋白量は6.0g/dl以下
(低アルブミン血症とした場合は血清アルブミン量3.0g/dl以下)
3.高脂血症 血清総コレステロール値250mg/dl以上
4.浮腫  

注意事項
(1)上記蛋白尿、低蛋白血症(低アルブミン血症)は本症候群診断のための必須条件。
(2)血清総コレステロール値250mg/dL以上、浮腫は本症候群診断のための必須条件ではない。

厚生省特定疾患ネフローゼ症候群調査研究班(1974年)

糖尿病性腎症

糖尿病の代謝異常による細小血管病変を基礎とした3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)のひとつである。糸球体硬化により腎症障害がおこり蛋白尿、浮腫、高血圧などをきたした病態である。

糖尿病性腎症の診断は基本的に検尿でおこなう。特に以下のポイントが当てはまる場合、糖尿病性腎症を強く疑う。
 ・糖尿病の罹病期間が少なくとも5年以上である
 ・網膜症や神経障害などの糖尿病の合併症が存在する
 ・尿蛋白排泄量の持続的増加(300mg/day/以上)
 ・高度の血尿を認めない
 ・他の腎疾患が除外される(臨床的に判断ができないときには腎生検による組織学的診断が必要な場合もある

糖尿病性腎症の早期診断基準
1.測定対象 尿蛋白陰性か陽性(+1)の患者
2.必須事項  
  尿中アルブミン値 30〜299mg/gCr 3回中2回以上陽性
3.参考事項  
  尿中アルブミン排泄率 30〜299mg/24hr   20〜199μg/min
  尿中IV型コラーゲン値 7〜8mg/gCr以上
  腎サイズ 腎肥大(超音波にて)

注意事項
(1)採尿条件:なるべく午前中の随時尿を用いる。来院後一定の安静時間を経て採尿する。早朝尿を用いてもよい。
(2)測定法:アルブミンを免疫測定法で測定し、同時に尿中クレアチニンを測定する。
(3)高血圧、高度肥満、メタボリックシンドローム、尿路系異常、尿路感染症、うっ血性心不全などでも微量アルブミン尿を認めることがある。
(4)高度の希釈尿、妊娠中、月経時、過度の運動後、過労、感冒などの条件下では検査を控える。
(5)定性法で微量アルブミン尿を判定するのはスクーリングの場合に限り、後日必ず上記定量法で確認する。
(6)血糖や血圧コントロールが不良の場合には微量アルブミン尿の判定は避ける。
2005年 日本糖尿病学会・日本腎臓学会糖尿病性腎症合同委員会

糖尿病性腎症の病期分類(改訂)注1

病期 尿アルブミン値(mg/gCr)あるいは<尿蛋白値(g/gCr) 病理学的特徴
(糸球体病変)
第1期
(腎症前期)
正常アルブミン尿(30 未満) 30以上注2
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿(30~299)注3 30以上
第3期B
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿(300 以上)あるいは持続性蛋白尿(0.5以上) 30以上注4
第4期
(腎不全期)
問わない注5 30未満
第5期
(透析療法期)
透析療法中  

注意事項
注1: 糖尿病性腎症は必ずしも第1期から順次第5期まで進行するものではない。本分類は、厚労省研究班の成績に基づき予後(腎、心血管、総死亡)を勘案した分類である。

注2: GFR 60 ml/分/1.73m2未満の症例はCKDに該当し、糖尿病性腎症以外の原因が存在し得るため、他の腎臓病との鑑別診断が必要である。

注3: 微量アルブミン尿を認めた症例では、糖尿病性腎症早期診断基準に従って鑑別診断を行った上で、早期腎症と診断する。

注4: 顕性アルブミン尿の症例では、GFR 60 ml/分/1.73m2未満からGFRの低下に伴い腎イベント(eGFRの半減、透析導入)が増加するため注意が必要である。

注5: GFR 30 ml/分/1.73m2未満の症例は、尿アルブミン値あるいは尿蛋白値に拘わらず、腎不全期に分類される。しかし、特に正常アルブミン尿・微量アルブミン尿の場合は、糖尿病性腎症以外の腎臓病との鑑別診断が必要である。

糖尿病性腎症合同委員会 2013