栄養状態の判定と評価

肥満度と体格指数

  1. BMI(body mass index 体格指数)

   BMI=体重(kg)/身長(m2

標準体重をBMI=22とし、「肥満」か「やせ」かを判定する。

   〜<18.5 やせ
18.5≦〜<25.0 正常
25.0≦〜<30.0 肥満(1度)
30.0≦〜<35.0 肥満(2度)
35.0≦〜<40.0 肥満(3度)
40.0≦〜 肥満(4度)
  1. 肥満度

   肥満度(%)=(実測体重−標準体重)/標準体重×100

  1. カウプ指数

   カウプ指数=体重(kg)/身長(cm)2×104

  1. ローレル指数

   ローレル指数=体重(kg)/身長(cm)3×107

筋肉量などの、個人の変化の指標

  1. 体重減少率度

   体重減少率度(%)=(普段の体重−現在の体重)÷普段の体重×100

健康時の体重からどのくらいの期間で何%体重が減っているかを調べるときに用いる。

1ヶ月 5%以上
3ヶ月 7.5%以上
6ヶ月 10%以上

で異常な体重減少と判断する。

  1. 上腕筋囲

   上腕筋囲(cm)=上腕周囲長(cm)−0.314×皮下脂肪厚(mm)

  1. 腕筋面積

   上腕筋面積(cm2){上腕周囲長(cm)−0.314×皮下脂肪厚(mm)}÷4π

ともに筋肉量の指標(皮下脂肪厚はキャリパーで測定)として用いられる。
上腕筋面積は、骨面積が考慮されていないが、筋肉の体積の減少比率をを考えると、周囲長より変化が捉えやすい。

  1. クレアチニン身長係数

●クレアチニン排泄量(mg/day)=尿中クレアチン濃度(mg/dl)×尿量(dl/day)

●クレアチニン身長係数(%)=患者のクレアチニン排泄量÷{標準体重×クレアチニン係数(mg/kg/day)}×100

※標準体重=BMI22のときの体重

クレアチニン係数(mg/kg/day)
年齢 男性 女性
20〜39 22 19
40〜59 21 17
60〜 17 14

※寝たきりなど、背筋をまっすぐ伸ばすことが困難な人の身長を推定する場合
高齢者など、まっすぐに背を伸ばせない場合は、膝高から身長を推定する方法を用いる。

●男性:身長推定値=64.02+2.12×膝高−0.07×年齢

●女性:身長推定値=77.88+1.77×膝高−0.10×年齢

コレステロール

  1. 非HDLコレステロール

   非HDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール
   ※中性脂肪値200mg/dl以下の場合は実測値にほぼ一致

  1. 動脈硬化指数

   動脈硬化指数=(総コレステロール−HDLコレステロール)÷HDLコレステロール

クレアチニンクリアランス(Ccr)

  • Ccr(ml/分)=尿中Cr(mg/dl)×尿量(ml/分)/血清Cr(mg/dl)
  • 推算GFR・eGFR(ml/min/1.73m2)=0.741×175×Cr-1.154×年齢−0.203(女性は×0.742)

赤血球指数および鉄代謝

  1. 赤血球指数

●平均赤血球容積(MCV)
  {ヘマトクリット(%)/赤血球数}×10
  基準:80〜100fl

●平均赤血球血色素量(MCH)
  {ヘモグロビン(g/dl)/赤血球数}×10
  基準:27〜32pg

●平均赤血球血色素濃度(MCHC)
  {ヘモグロビン(g/dl)/ヘマトクリット(%)}×100
  基準:32〜36g/dl

  1. 鉄代謝

●総鉄結合能=血清鉄(μg/dl)+不飽和鉄結合能
基準:300〜390μg/dl

●鉄飽和度(%)=血清鉄(μg/dl)÷総鉄結合能×100

基礎代謝と推定エネルギー必要量

  1. 基礎代謝量(食事摂取基準)

   基礎代謝量(kcal/day)=基礎代謝基準値(kcal/体重kg/day)×基準体重(kg)

  1. 推定エネルギー必要量(kcal/day)

   =基礎代謝量(kcal/day)×身体活動レベル

基礎代謝量
性別 男性 女性
年齢 基礎代謝基準値
(kcal/kg体重/日)
基準体重
(kg)
基礎代謝量
(kcal/日)
基礎代謝基準値
kcal/kg体重/日)
基準体重
(kg)
基礎代謝量
(kcal/日)
1〜2(歳) 61.0 11.7 710 59.7 11.0 660
3〜5(歳) 54.8 16.2 890 52.2 16.2 850
6〜7(歳) 44.3 22.0 980 41.9 22.0 920
8〜9(歳) 40.8 27.5 1,120 38.3 27.2 1,040
10〜11(歳) 37.4 35.5 1,330 34.8 34.5 1,200
12〜14(歳) 31.0 48.0 1,490 29.6 46.0 1,360
15〜17(歳) 27.0 58.4 1,580 25.3 50.6 1,280
18〜29(歳) 24.0 63.0 1,510 22.1 50.6 1,120
30〜49(歳) 22.3 68.5 1,530 21.7 53.0 1,150
50〜69(歳) 21.5 65.0 1,400 20.7 53.6 1,110
70以上(歳) 21.5 59.7 1,280 20.7 49.0 1,010

参考:日本人の食事摂取基準(2010年版)

年齢階級別にみた身体活動レベルの群分け(男女共通)
身体活動レベル レベル I(低い) レベル II(ふつう) レベル III(高い)
1〜2(歳) - 1.35 -
3〜5(歳) - 1.45 -
6〜7(歳) 1.35 1.55 1.75
8〜9(歳) 1.40 1.60 1.80
10〜11(歳) 1.45 1.65 1.85
12〜14(歳) 1.45 1.65 1.85
15〜17(歳) 1.55 1.75 1.95
18〜29(歳) 1.50 1.75 2.00
30〜49(歳) 1.50 1.75 2.00
50〜69(歳) 1.50 1.75 2.00
70以上(歳) 1.45 1.70 1.95

参考:日本人の食事摂取基準(2010年版)

身体活動レベル別にみた活動内容と活動時間の代表例(15〜69歳)※1
身体活動レベル ※2 低い(I) ふつう(II) 高い(III)
1.5
(1.40〜1.60)
1.75
(1.60〜1.90)
2
(1.90〜2.20)
日常生活の内容 ※3 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなどの余暇における活発な運動習慣をもっている場合
個々の活動の分類
(時間/日)
睡眠(0.9) ※4 7〜8 7〜8 7
座位または立位の静的な活動
(1.5: 1.0〜1.9) ※4
12〜13 11〜12 10
ゆっくりした歩行や家事など低強度の活動
(2.5: 2.0〜2.9) ※4
3〜4 4 4〜5
長時間持続可能な運動・労働など中強度の活動(普通歩行を含む)
(4.5: 3.0〜5.9) ※4
0〜1 1 1〜2
頻繁に休みが必要な運動・労働など高強度の活動
(7.0: 6.0以上) ※4
0 0 0〜1

参考:日本人の食事摂取基準(2010年版)

※1 表中の値は、東京近郊在中の成人を対象とした、3日間の活動記録の結果から得られた各活動時間の標準値。
  二重標識水法及び基礎代謝量の実測値から得られた身体活動レベルにより3群に分け、各群の標準値を求めた。
※2 代表値。( )内はおよその範囲。
※3 活動記録の内容に加え、Black,et al.を参考に、身体活動レベル(PAL)に及ぼす職業の影響が大きいことを考慮して作成。
※4 ( )内はメッツ値。(代表値:下限〜上限)

身体活動の分類例
身体活動の分類
(メッツ値 ※1の範囲)
身体活動の例
睡眠(0.9) 睡眠
座位または立位の静的な活動
(1.0〜1.9)
テレビ・読書・電話・会話など(座位または立位)、食事、運転、デスクワーク、縫物、入浴(座位)、動物の世話(座位、軽度)
ゆっくりした歩行や家事など低強度の活動
(2.0〜2.9)
ゆっくりした歩行、身支度、炊事、洗濯、料理や食材の準備、片付け(歩行)、植物への水やり、軽い掃除、コピー、ストレッチング、ヨガ、キャッチボール、ギター、ピアノなどの楽器演奏
長時間持続可能な運動・労働など中強度の活動
(普通歩行を含む)
(3.0〜5.9)
ふつう歩行〜速歩、床掃除、荷造り、自転車(ふつうの速さ)、大工仕事、車の荷物の積み下ろし、苗木の植栽、階段を下りる、子どもと遊ぶ、動物の世話(歩く/走る、ややきつい)、ギター:ロック(立位)、体操、バレーボール、ボーリング、バドミントン
頻繁に休みが必要な運動・労働など高強度の活動
(6.0以上)
家財道具の移動・運搬、雪かき、階段を上る、山登り、エアロビクス、ランニング、テニス、サッカー、水泳、縄跳び、スキー、スケート、柔道、空手

参考:日本人の食事摂取基準(2010年版)

※1 メッツ(metabolic equivalent、MET:単数形、METs:複数形)は、Ainsworth,et al.による。
  いずれの身体活動でも活動実施中における平均値に基づき、休憩・中断中は除く。

栄養素別エネルギー比

  1. 蛋白質エネルギー比

  {総蛋白質(g)×4(kcal)}÷総エネルギー(kcal)×100
  基準:12〜15%

  1. 脂質エネルギー比

  {総脂質(g)×9(kcal)}÷総エネルギー(kcal)×100
  基準:20〜25%

  1. 穀類エネルギー比

  {穀類エネルギー(kcal)÷総エネルギー(kcal)}×100
  基準:50〜55%

  1. 4.動物性蛋白質比

  {動物性蛋白質量(g)÷総蛋白質量(g)}×100
  基準:40〜50%

  1. 動物性脂肪比

  {動物性脂肪量(g)÷総脂肪量(g)}×100
  基準:動植物比=1:1〜1:2

体水分量

  1. 水分バランス

●水分摂取量(ml/day)=飲水量+食事中の水分+代謝水(200ml)

●水分排泄量=尿量+便中の水分+不感蒸泄(12ml/kg)
  ※定常状態では「水分摂取量=水分排泄量」 となる。

  1. 体液欠乏量の推定式

●体液欠乏量(リットル)=健常時の体重(kg)−現在の体重(kg)
  ※健常時の体重がわかっていて、脱水症状などを起こす明らかな事項があった場合など、
  急激な体重減少は、ほぼ体液の減少に一致する。

●体液欠乏量(リットル)=現在の体重(kg)×0.2×{1−(健常時Ht(%)/現在のHt(%))}
  ※Ht:ヘマトクリット
  ※脱水症では主に細胞外液が減少するため、細胞外液量と血液濃縮の程度から、体液欠乏量の推定が可能。
  細胞外液量を体重の20%として計算している。