厚生労働省

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平成21年5月29日

健康局総務課生活習慣病対策室

河野、須永、米倉(内2343)

日本人の食事摂取基準について

平成22年度から平成26年度の5年間使用する、日本人の食事摂取基準(2010年版)は、「日本人の食事摂取基準」策定検討会(座長:春日雅人 国立国際医療センター)においてとりまとめられた。

日本人の食事摂取基準とは
見直しのポイント

※印刷用PDFファイルはこちらからご覧になれます。

日本人の食事摂取基準について(PDF:35KB)


日本人の食事摂取基準(2010年版)  概要

1.策定の目的

日本人の食事摂取基準は、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。

2.使用期間

平成22(2010)年度から平成26(2014)年度までの5年間とする。

3.策定方針

(1)基本的考え方

「日本人の食事摂取基準」の策定にあたっては、2005年版で用いられた方針を踏襲しながら、可能な限り、科学的根拠に基づいた策定を行うことを基本とし、国内外の学術論文ならびに入手可能な学術資料を最大限に活用することとした。

食事摂取基準は、3つの基本的な考え方に基づいて策定されている。

[1]  エネルギー及び栄養素摂取量の多少に起因する健康障害は、欠乏症または摂取不足によるものだけでなく、過剰によるものも存在する。また、栄養素摂取量の多少が生活習慣病の予防に関与する場合がある。よって、これらに対応することを目的としたエネルギーならびに栄養素摂取量の基準が必要である。
[2]  エネルギー及び栄養素の「真の」望ましい摂取量は個人によって異なり、個人内においても変動するため、「真の」望ましい摂取量は測定することも算定することもできず、その算定及び活用において、確率論的な考え方が必要となる。
[3]  各種栄養関連業務に活用することをねらいとし、基礎理論を「策定の基礎理論」と「活用の基礎理論」に分けて記述した。なお、「活用の基礎理論」については、「食事改善」や「給食管理」を目的とした食事摂取基準の基本的概念や活用の留意点を示した。
(2)設定指標

エネルギーについては1種類、栄養素については5種類の指標を設定した。

[1]エネルギー:「推定エネルギー必要量」

○推定エネルギー必要量(estimated energy requirement: EER)

エネルギー出納が0(ゼロ)となる確率が最も高くなると推定される習慣的な1日あたりのエネルギー摂取量

*エネルギー出納:成人の場合、エネルギー摂取量 − エネルギー消費量

[2]栄養素:「推定平均必要量」「推奨量」「目安量」「耐容上限量」「目標量」

健康の維持・増進と欠乏症予防のために、「推定平均必要量」と「推奨量」の2つの値を設定し、この2指標を設定することができない栄養素については、「目安量」を設定した。

また、過剰摂取による健康障害を未然に防ぐことを目的として、「耐容上限量」を設定した。

さらに、生活習慣病の一次予防を目的として食事摂取基準を設定する必要のある栄養素については、「目標量」を設定した。

○推定平均必要量(estimated average requirement: EAR)

ある母集団における平均必要量の推定値。ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量

○推奨量(recommended dietary allowance: RDA)

ある母集団のほとんど(97〜98%)の人において1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量

*理論的には「推定平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)」として算出

○目安量(adequate intake: AI)

推定平均必要量及び推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない 場合に、特定の集団の人々がある一定の栄養状態を維持するのに十分な量

○耐容上限量(tolerable upper intake level: UL)

ある母集団に属するほとんどすべての人々が、健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限を与える量

○目標量

(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases: DG)

生活習慣病の一次予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

<変更点>

耐容上限量を超えて摂取すると潜在的な健康障害のリスクが高まると考えられることを適切に表現するために、「上限量」を「耐容上限量」と変更した。

推定エネルギー必要量について  概念図

推定エネルギー必要量について 概念図

図1  推定エネルギー必要量を理解するための概念図

縦軸は、個人の場合は不足または過剰が生じる確率を、集団の場合は不足または過剰の者の割合を示す。エネルギー出納が0(ゼロ)となる確率が最も高くなると推定される習慣的な1日あたりのエネルギー摂取量を推定エネルギー必要量という。

食事摂取基準の各指標について  概念図

食事摂取基準の各指標について 概念図

図2  食事摂取基準の各指標を理解するための概念図

縦軸は、個人の場合は不足または過剰によって健康障害が生じる確率を、集団の場合は不足状態にある者または過剰によって健康障害を生じる者の割合を示す。

不足の確率が推定平均必要量では0.5(50%)あり、推奨量では0.02〜0.03(中間値として0.025)(2〜3%または2.5%)あることを示す。耐容上限量以上を摂取した場合には過剰摂取による健康障害が生じる潜在的なリスクが存在することを示す。そして、推奨量と耐容上限量との間の摂取量では、不足のリスク、過剰摂取による健康障害が生じるリスクともに0(ゼロ)に近いことを示す。目安量については、推定平均必要量ならびに推奨量と一定の関係を持たない。しかし、推奨量と目安量を同時に算定することが可能であれば、目安量は推奨量よりも大きい(図では右方)と考えられるため、参考として付記した。目標量は、他の概念と方法によって決められるため、ここには図示できない。

(3)策定したエネルギーや栄養素

エネルギーと34種類の栄養素について策定を行った。

設定項目
エネルギー   エネルギー
たんぱく質   たんぱく質
脂質   脂質、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸
コレステロール
炭水化物   炭水化物、食物繊維
ビタミン 脂溶性ビタミン ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
水溶性ビタミン ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6
ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC
ミネラル 多量ミネラル ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン
微量ミネラル 鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン

<変更点>  分類について、整理を行い、掲載順を変更した。

(4)年齢区分
ライフステージ 区分
乳児(0〜11か月) 0〜5か月、6〜8か月、9〜11か月
小児(1〜17歳) 1〜2歳、3〜5歳、6〜7歳、8〜9歳、10〜11歳、12〜14歳、15〜17歳
成人(18〜69歳) 18〜29歳、30〜49歳、50〜69歳
高齢者(70歳以上) 70歳以上
その他 妊婦、授乳婦

<変更点> 乳児については、成長に合わせてより詳細な区分設定が必要と考えられたため、エネルギー及びたんぱく質では3区分(0〜5か月、6〜8か月、9〜11か月)で策定を行った。

(5)ライフステージ

「乳児・小児」、「妊婦・授乳婦」、「高齢者」の各ライフステージについて、特別の配慮が必要な事項について整理を行った。

(6)活用

各種栄養関連業務に活用することをねらいとし、活用の基礎理論を整理し、「食事改善」と「給食管理」を目的とした食事摂取基準の基本的概念と活用の留意点を示した。

(参考)  食事摂取基準を設定した栄養素と策定した指標(1歳以上)1

  推定平均必要量
(EAR)
推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容上限量
(UL)
目標量
(DG)
たんぱく質 - - -
脂質 脂質 - - - -
飽和脂肪酸 - - - -
n-6系脂肪酸 - - -
n-3系脂肪酸 - - -
コレステロール - - - -
炭水化物 炭水化物 - - - -
食物繊維 - - - -





ビタミンA - -
ビタミンD - - -
ビタミンE - - -
ビタミンK - - - -


ビタミンB1 - - -
ビタミンB2 - - -
ナイアシン - -
ビタミンB6 - -
ビタミンB12 - - -
葉酸 - 2 -
パントテン酸 - - - -
ビオチン - - - -
ビタミンC - - -




ナトリウム - - -
カリウム - - -
カルシウム - -
マグネシウム - 2 -
リン - - -

- -
亜鉛 - -
- -
マンガン - - -
ヨウ素 - -
セレン - -
クロム - - -
モリブデン - -

1 一部の年齢階級についてだけ設定した場合も含む。

2 通常の食品以外からの摂取について定めた。

※印刷用PDFファイルはこちらからご覧になれます。

概要(PDF:131KB)

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