2016年3月(名古屋)・4月(横浜)で行われたセミナーの報告です。
糖質管理の重要性が様々な形で世の中に影響を与えている中、その中でも特に論点の1つとなりやすい「果物」をテーマにした研修会が開催されましたのでご報告します。前半は、女子栄養大学の上西一弘先生が食事摂取基準からみた果物の価値について。
後半は、京都大学医学部附属病院の幣憲一郎先生が食品交換表 第7版の改定ポイントとあわせて果物の摂取に対する考え方をわかりやすく講義してくださいました。セミナーからうまれた食事指導ツールもあります。最後までご覧ください!
【講演内容】
食事摂取基準からみる果物の活用と位置づけ
2005年から「栄養所要量」という概念は「食事摂取基準」に変更されています。
もともと栄養所要量は摂取不足や欠乏を補うことを念頭に定められていたものでした。
(例えば、カルシウムは不足しないために、600mg/日とりましょうという値)
これを2005年から日本人の食事摂取基準に変えたのは、これまでの「不足や欠乏の予防や回避」に加えて、
なども視野に入れてきたためです。
諸外国の食事摂取基準では、上限値・下限値が決まっているものが多いですが、日本はこれに加えて、生活習慣病の予防も視野に入れた目標量というものも決めています。
このような経緯をうけて、更に日本人の食事摂取基準2015年版では、これまで同様に
とともに、
を視野に入れた改定を行いました。
これにより、保健指導レベルの人にまで対象者が広がったことになります。
メタボ領域で投薬前の方や既に投薬が始まっている患者さん等、それぞれの方の体の状態に応じて、日本人の食事摂取基準と各疾患の治療のガイドラインなどを併用しながら利用していきましょう。
1) | 生活習慣病の発症予防と共に重症化予防を加えたこと。 |
2) | エネルギーについて、指標に「体格(BMI)」を採用したこと。成人期を3つの区分に分け、目標とするBMIの範囲を提示。肥満と共に高齢者の低栄養にも注意が必要。 |
3) | 生活習慣病の予防を目的とした目標量を充実。ナトリウム(食塩相当量)=高血圧予防の観点から成人男性8g/日、成人女性7g/日 食物繊維とカリウムについても目標量を設定。 |
※2)に関連して「推定エネルギー必要量がBMIに変わった」理由:
体重が重い方は減るように、体重の少ない方は増やすようにしなければならない。そのためにはエネルギーと消費のバランスだけを考えるだけでは足りず、その前に、きちんと適正な体格を定めて、それを目指す必要があるため。
※3)の目標量はあくまでも目標量なので、今日から、明日から絶対的に守るべき値というよりも、将来的に徐々に近づけていくための数値目標(例えば、現在14g/日の食塩をとっている人には、まずは12g/日でも10g/日でも、まずは目標量に近づけていくことが重要)。目標量に近づける努力を継続しましょうという意味合いの数値でもある。数字にだけ縛られないようにしましょう。