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『むし養い』ですが。

第12回 食品表示偽装の罪は何か?


横田 久美
管理栄養士。
大学院修了後、広告代理店を経て、現在は行政機関にて、食の安全に関するイベント等を担当。



 あなたならどうしますか?

以前にご紹介した、「クロスロード」というゲーミングシュミレーションの中に、次のような問題があります。

 「あなたは、主婦です。土用の丑の日。魚にうるさい義父は、ウナギは国産に限ると厳しい。でもスーパーには、中国産のウナギしかない。パックから出せば、産地なんてわからないと思う。あなたなら、これを買う?それともやめておく?」。さて、この問題、皆さんがゲームに参加していたら、「買う」という札を出しますか? 「やめておく」という札を出しますか?

 では、もう一問。「あなたはかまぼこ製造業の社長。従業員10名の小さな会社だが、堅実に販売実績を伸ばしてきた。たまたま1ヶ月前に販売したかまぼこのラベルに、卵白がアレルギー表示から漏れていたと報告を受けた。新聞に社告を出すと費用がかかる。今販売している製品の表示に問題はない。社告を出すのはやめておく?それともやっぱり出す?」。

 このクロスロードゲームは、あくまでも設問に書かれた立場になりきり、設問内の情報だけで、AかBかの選択を決めるというものです。従業員数10名のかまぼこ製造業の社長さんになりきって考えてみて下さい。「社告を出す」か「出さない」か、どちらでしょう?

 この2問、お気づきのように、どちらも「表示」に関連した内容になっています。最初の「うなぎ」の問題、置かれている立場やシチュエーションは少しずつ違うでしょうが、意外と日常的に迷うことが多いのではないでしょうか? 大学生にこの問いを行った時に、「家族に嘘はつけない」という子、「味でわかるのではないか」という子、「中国産であってもおいしい」という子、様々でした。主婦が家族に産地を偽るのは罪にはなりませんが、これを業者が行えば、当然罪に問われます。


 食品偽装表示は食品の安全の問題?

第1回目のコラムの冒頭で、「食品偽装」が2007年の「流行語大賞」にノミネートされたことを書きました。あれから半年、「流行」ではなく、ある種の日常のように連日報道がなされていますが、幸いにも、食品表示偽装が原因でおきた健康被害の報告はないようです。このようなことから、「食品表示偽装」と「食品の安全性」の問題は別物であるとする考え方もあります。私は、「食品表示」には健康(被害)への影響度合いが違うものがいろいろあり、それらを一緒に考えることはできないと思います。

 先に挙げた「クロスロード」の設問の「かまぼこ」の方ですが、これは、アレルギー表示ですから、命に関わる人もいます。では、賞味期限の改ざんはどうでしょうか? もともと表示以前に、その食品の管理の仕方が大きく影響してきますが、消費期限などは、食中毒に関係する可能性もあります。産地やブランドの表示はどうでしょうか? 産地の違いが、健康に直接関係してくることはほとんどないと思えます。しかし、マスコミでは、このような区分けをして、報道しているわけではありません。「表示の内容(健康との関わり度合い)」で議論することはほとんどなく、やはり、「偽装する行為」自体を問題としていることが多いと思います。

 確かに、「偽装すること」は、食品業界への信頼性ということからも、重大な罪です。しかもそのことを反省することもなく、「たまたま運が悪くて、偽装が見つかった」というような発言をする経営者たちの経営感覚は問題です。しかし、食の専門家である皆さんは、健康被害はどうなのかといった視点も持って「食品表示偽装」の報道等を読み解き、罪はどこにあるのかを考えてもいいのではないかと思います。


 今回の、むし養い

石垣島に住む後輩が作っている、「パインジャム」です。形が悪い等の理由で市場に出さないパインを使い、手作りでゆっくりと作られたジャムで、私にとって、この季節の楽しみです。フロマージュブランにかけると、それだけで素敵なデザートの一品になります。地方発送有り。

お問い合わせ先:仲嶺おかず店 0980-83-2095


横田 久美(よこた くみ)

 管理栄養士。女子栄養大学、女子栄養大学大学院栄養学修士課程修了後、広告代理店に入社。 食品を中心に、広告や政府広報等のマーケティングやプランニングを担当。その後、行政機関の非常勤として、食品の安全性に関するリスクコミュニケーション部門で、各種イベントやDVD制作などに携わる。学生時代からの興味対象であり、修士論文のテーマでもあった「食情報と人との関わり」について、これからも考えていきたい。




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