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『むし養い』ですが。

第4回 「トリのふり見て我がふり直す?」〜鳥インフルエンザ


横田 久美
管理栄養士。
大学院修了後、広告代理店を経て、現在は行政機関にて、食の安全に関するイベント等を担当。



 「鳥も風邪をひくんだ。」

 今の職場に入って初めての冬(2004年1月)、日本で79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが発生しました。恥ずかしながら私は、動物の病気について全く知識がなく、「へえ、鳥も風邪をひくんだ。」とびっくりしたような有様でした。

 記憶にある方もいらっしゃるかと思いますが、この時の発生は、一種のパニックを引き起こしました。マスコミは、ものものしい防護服姿の作業員が大量のニワトリを殺処分する様子を連日伝え、鶏肉や卵がいっせいにスーパーから姿を消した地域もありました。私も「半熟卵の親子丼を食べてしまい、心配です」というお問い合わせの電話を職場で受けたり、意見交換会の場で、「養鶏場の子供は学校に行ってもいいのか?」と、参加者が専門家に疑問を投げかける姿を目の当たりにしました。それに、一番個人的に心配だったのは、いつもは混んでいるいきつけの焼き鳥屋が空いていて、このまま客足が戻らず、経営が大変になって、なくなってしまうのではないかという事でした。


 高病原性鳥インフルエンザとは

 高病原性鳥インフルエンザは、ニワトリをはじめとする家きんの伝染病です。症状は多様で、高い致死率と伝播力を有します。発生すると養鶏産業に大きな影響が出るため、日本はもちろん、国際的にも通報すべき疾病です。感染した鳥類やウイルスが付着した排泄物などとの接触で感染し、有効な治療法はありません。予防のワクチンはありますが、ウイルスを完全に殺すようなものではないため、ウイルスが常在することになり、新たな感染を完全に防止できないということで、日本では使用が認められていません。2004年に発生した件は、カモなどの渡り鳥によってウイルスが持ち込まれ、それらの糞が感染源となった可能性が考えられています。(「高病原性鳥インフルエンザ感染究明チーム報告書2007年9月6日」参考 )

 鳥インフルエンザは高密度で病気の鳥と接触しなければ、ヒトにはうつりません。鶏肉や卵を食べたことで、ヒトが鳥インフルエンザに感染した報告は世界的にみてもありません。鶏肉や卵は「安全」と考えられます。

※食品安全委員会ホームページ参照 http://www.fsc.go.jp/


 落ち着いて、冷静に考えることの大切さ

 この原稿を用意している最中、テレビで「新型インフルエンザ」の特集番組を見ました。トリからトリに感染するウイルスが変異し、ヒトに感染し、ヒトの新型インフルエンザとなり、「感染爆発(パンデミック・フルー)」になるのは時間の問題という内容でした。4年前の鳥インフルエンザの時、「ヒトの新型インフルエンザに変異することは、もう少し先の話だろう。しかし、鳥インフルエンザの蔓延をきちんと防御していくことは、ヒトの新型インフルエンザの発生を遅らせることにつながるだろう」という、専門家の方もいました。しかしあれから4年が経ちました。専門家の方が言っていた、「もう少し先」の先が「今」なのかもしれない・・・その番組のインパクトがあまりに強く、わたしは呆然としてしまいました。

 しかし、冷静に落ち着いて情報を得られればパニックは収まると、鳥インフルエンザの時に私たちは体験してきました。やはり新型インフルエンザにも、冷静に考えることが大切であると思います。厚生労働省のホームページには、新型インフルエンザについて、個人でできる対策も紹介されています。ぜひ、一度ご覧ください。

※厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/


 今回の、むし養い

 私が4年前にその存続を危惧した焼き鳥屋さんですが、現在も健在です。ランチには「鳥丼」や「から揚げ定食」が人気です。から揚げは昼と夜で味付けを変えているという力の入れようです。「鳥丼」はお持ち帰りもできます。焼き加減も絶妙、特製だれを別の容器に入れてくれる気遣いもうれしいです。今回は、ほかほか状態をカメラに収めたく、店からの持ち帰りの途中、公園のベンチで撮影しました。お近くに行かれた際にはぜひ、お試しください。

【お店情報】
りときや寛(りときやかん)/東京港区赤坂
http://www.ritokiya.com/index.html


横田 久美(よこた くみ)

 管理栄養士。女子栄養大学、女子栄養大学大学院栄養学修士課程修了後、広告代理店に入社。 食品を中心に、広告や政府広報等のマーケティングやプランニングを担当。その後、行政機関の非常勤として、食品の安全性に関するリスクコミュニケーション部門で、各種イベントやDVD制作などに携わる。学生時代からの興味対象であり、修士論文のテーマでもあった「食情報と人との関わり」について、これからも考えていきたい。




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