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『むし養い』ですが。 第3回 ねずみ年に思う〜食品の安全性と動物実験 ![]()
名前は、「のび太」 ねずみ年を迎え、ふと学生時代の動物実験実習を思い出しました。エサの配合を変え、1匹のラットを2週間程度飼育して解剖し、内臓の重量や血液状態等を調べるというものでした。確か初めての飼育〜解剖の実習だったと思います。私たちの班に与えられたエサは、他の班のように脂質を過剰にしたり、ビタミンを不足させたりしたものではなく、一般的なもので、ラットはゲージの中で「淡々と」すごしている様に見えました。隣のゲージのラットは脂質過剰なのか、どんどんと巨大化し、体重増加に加え、なぜか凶暴性を増してきたようで、周囲のゲージのラットを威嚇することもありました。
実習前に指導教授から、「ラットに名前をつけないように」と言われました。その時は、何故?と疑問に思い、飼育している間に自然と名前をつけて、エサを与えたり、ゲージの清掃をする際に呼びかけるようになっていきました。大きくもならず、特段特徴もないので、「のび太」と呼んでいたと思います。隣の巨大ラットは「ジャイアン」と秘かに呼ばれていました。 いよいよ解剖の日になり、「名前をつけてはいけない」理由がわかりました。名前をつけると、解剖がしにくい。麻酔でどんどんと動かなくなる「のび太」を見ると、なんともいえない気持ちになるのです。誰もが最初にメスを入れるのを嫌がり、実験室は大騒ぎになったのですが、結局、解剖実習は行われました。 たくさんの動物実験が支える、食品の安全性 食品添加物も農薬も、その使用は厳しく規制されています。例えば、食品に使用される(残留する)農薬の安全性については、農薬ごとに、国の機関である「食品安全委員会」でリスク評価(食品健康影響評価)※1がされています。この評価結果を基に、この水準を超えないように、厚生労働省や農林水産省で、残留農薬基準や使用基準が決められます。ある農薬を食べ物を介して摂取した場合、体にどのような悪影響があるのかを、様々な毒性試験等のデータを突き合わせ、食品安全委員会の専門家たちが審議をします。最終的には、ADI(Acceptable Daily Intake 一日摂取許容量※2)を求める、それが、農薬のリスク評価結果ということになります。ADIは「無毒性量※3の100分の1」とされることが多いです。100分の1とするのは、「動物実験から求められる無毒性量に、動物と人との種差を考慮するための10分の1」と、さらに「人における個人差を考慮するための10分の1」を掛け合わせるからです。つまり、「動物の方が人間よりも10倍強く、さらに人間でも、年齢や性別などの個体差分として10倍安全の幅を見積もっておく」ということです。 このように、食品の安全性を確保するための第一歩ともなるADIを求めるには、多くの動物実験のデータが必要です。マウスやラットのみならず、イヌ、ヤギ、サルなども用いられます。世界中でどの位の動物実験が行われるのでしょうか。食べることはそもそも他の命を「いただく」ことです。食べ物として直接的に『食べる』だけでなく、このような動物実験の動物たちの命も間接的に私たちは「食べている」とも言えるでしょう。 私は、学生時代、実験系のゼミを選択しませんでしたし、卒業後は実験とは縁のない仕事につきましたので、あの動物実験実習以降、自分でラットを飼育して解剖することをしていません。だからでしょうか、今でも、ラットの「のび太」の印象が強いのかもしれません。あのラットの「のび太」の解剖がなければ、栄養士の資格を取ることはできなかったはずです。卒業してウン十年の今頃になってしまいましたが・・・ラットの「のび太」、ありがとう。 今回の、むし養い
私の年末の“仕事”のひとつに、伊達巻作りがあります。知り合いの方が教えてくださったレシピを、砂糖の量を調節するなどして、少しずつ我が家の味に変化させてきました。かれこれ20年位毎年作っている割には、不器用なのか、きれいな渦巻きがなかなかできません。今年も3本作りましたが、渦ではなく、ハートのような模様や写真のような「アートな」ものになってしまいました。まあ、これも手作りの味わいと家族にも納得させ、今年も正月に食べました。用語説明(食品安全委員会「食品の安全性に関する用語集(改訂版追補)」平成18年3月 より) ※1 リスク評価(食品健康影響評価) 食品中に含まれるハザード(危害要因)を摂取することによって、どのくらいの確率でどの程度の健康への悪影響が起きるかを科学的に評価すること。 ※2 ADI(Acceptable Daily Intake 一日摂取許容量) 人がある物質の一定量を一生涯にわ たって摂取し続けても、現時点でのあらゆる知見からみて、認むべき健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量。通常、体重1kg当たりの物質量で示される。 ※3 無毒性量 ある物質について、動物実験などにおいて毒性学的なすべての有害な影響が観察されない最大の量。例えば、農薬や添加物の場合、評価の対象となる物質に関するさまざまな動物試験の成績を評価し、各々の試験について毒性が認められなかった最大の量を求める。それらのうち、最も小さい量を、その物質の無毒性量とする。
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