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小児・母子の分野から

妊娠期の食生活


井部 奈生子
管理栄養士、健康咀嚼指導士。白梅学園短期大学講師、東横学園女子短期大学講師。


 人の発育過程の中でも、胎児の時期は発育が速やかです。この間の発育は、母体が摂取するエネルギーや様々な栄養素の影響をうけます。したがって、この時期における妊婦の食生活をおろそかにすることはできません。しかし、現在「食」に対する価値観が多様化し、女性に多く見られる痩身指向から栄養の偏りが懸念されています。妊娠前の栄養・食生活が不適切であった人は、それが妊娠後にも影響しやすく、不適切な栄養摂取になりがちであるといわれています。妊娠前から健康なからだを目指して食生活に関心を持ち、実践することが重要です。

 妊娠中に起こるからだの変化として、妊娠4〜8週くらいからみられる「つわり」があります。程度には個人差があるため、ほとんどつわりがないという人もいれば、嘔吐が激しく食事ばかりか水分をも受けつけなくなり、脱水症状などを起こして重症になってしまう人もいます。朝起きる時に吐き気がするという人もあれば、夕方に吐き気を感じるという人もいます。一般的には空腹の時に感じるという人が多いようですが、つわりの起こる時期やその程度は、人によってまちまちです。

 私の場合は、つわりの始まる時期が比較的遅かったため、自分はつわりがなくてよかったと安心して普段と変わらなく仕事を続けていました。しかし、11週頃から急につわりが始まりました。朝目がさめると気持ちが悪く、ずっと船酔いしている気分で、電車に乗ると余計に胃が揺られている気分でした。食事も匂いが気になるために全て冷蔵庫で冷やして食べました。そんな時に私がたべやすかったものが、ゼリーでした。水分の補給にもなるので牛乳や果汁に果物を沢山いれて、調子の良い時に作り置きをしました。普段あまり好んで食べることがなかったゼリーでしたが、これまでで一番多くこの時期に食べたと思います。

 つわりのひどい時期は3ヶ月くらい続きましたが、思い返してみるとつわりがあったおかげで、自分自身が妊婦であることを意識してからだの変化に配慮するようになりました。食べることの大好きな私が、食べたいのに食べられない辛さを実感しました。

 また苦しい時期に、多くの先輩方に体験談を聞かせていただいたりして、沢山のことを教わりましたし、助けてもいただきました。「この時期はあまり神経質にならずに、空腹をさけて食べられるものを少しずつでも食べれば大丈夫よ」と、仕事の合間にさっと食べられる果物やクラッカーをいただいたこともありました。何気ない心遣いに感動したことを忘れずに、これから私も栄養教育の際に役立てたいと考えています。

 妊娠期だけではありませんが栄養教育をする際は、「あらゆる状況に柔軟に対応することが大切である」と、このことから強く考えました。仕事をしていくうえで、経験をいかして心強いアドバイスができる栄養士になりたいと思うと同時に、専門的な知識を身につけたいと、日々思いながら勉強する毎日です。


井部 奈生子(いべ なおこ)

管理栄養士、健康咀嚼指導士。国際学院埼玉短期大学専攻科食物栄養専攻卒業後、女子栄養大学大学院栄養学研究科修士課程終了。戸板女子短期大学給食管理研究室助手を経て現在は、白梅学園短期大学、東横学園女子短期大学にて講師を勤める。研究テーマ・論文等は「新生児マス・スクリーニングで発見されたフェニルケトン尿症の生活状況に関する研究」、現在の研究テーマは「食品のテクスチャーとその官能評価について」




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