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介護業界の現状について

介護食品のこと


廣木 奈津
管理栄養士。博士(栄養学)。社団法人全国調理職業訓練協会認定 介護食士認定講習会(香川栄養専門学校)調理実習講師、聖徳大学人間栄養学部助教(臨床栄養学)。


 今回は、第1回の「介護食とは?」で少し触れた「介護食品について」もう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

 介護食品に求められる条件は、「衛生面での安全」と、「誤嚥の危険がない」ということです。介護食品を選択する上で重要なことは、対象となる利用者が「噛むのが難しい(咀嚼困難)」のか、「飲み込みが難しい(嚥下困難)」のかを見極める必要があります。もちろん両方にあてはまる方も多いでしょうが、そもそも両者は原因・対策が違うということを念頭に置かなければなりません。前者はかたさ・大きさ・厚み・弾力等が、後者はとろみ具合(粘度)・なめらかさ・咀嚼後(飲み込む直前)のまとまり具合(食塊)等が大きく関与しています。

 第1回でご紹介した「ユニバーサルデザインフード」では、利用者が食品を選択する際の目安として食品を4段階に区分しており、「かたさ」の上限や、飲み込みやすさに配慮して「粘度」の下限を決めています。それに加えて「とろみ調整食品」では、とろみの状態についてメーカー間の表示を統一し、とろみの付き方を「フレンチドレッシング状」「とんかつソース状」「ケチャップ状」「マヨネーズ状」の4段階のイメージで表現しています。食べ物や飲み物に加え混ぜることで適度なとろみをつけられるため、便利な食品です。

 この「とろみ調整食品」ですが、初期のものはでんぷんを原料としており、マッシュポテトのような食感や見た目が好みに合わないという意見も多くありました。現在はデキストリン等を主原料としたものが主流で、見た目を変えず、以前はとろみをつけにくかった牛乳や流動食、柑橘類のジュース等にも使用できるようになってきました。

 では、見た目が似ている「ベビーフード」と「ユニバーサルデザインフード」、どこが違うのでしょうか?どちらの食品も製造している大手メーカーの方に伺ったところ、一番違うのは塩分濃度(味付け)、そして栄養素の量ということでした。「ベビーフード」を対象としている乳児は嚥下に問題がない、ということも大きな違いです。つまり、とろみはなくても大丈夫だということになります。また、一口の量も違うということも食材の大きさに関わってきます。

 介護食を必要とする在宅患者について考える際に念頭に置いてほしいことは、「調理担当者」のことです。1日3食、365日介護食を作る負担というのは想像以上の苦労があります。その方々の負担を軽減できるようなアドバイスができる栄養士が求められています。病院や施設で使用しているとろみ剤や食品は市販されていないことも多いですから、対象食品のメーカーの方に伺うなり、職場周辺の販売店で取り扱っている商品を確認するなど、情報を収集しておきましょう。また、介護食品は日々進化しています。学会やセミナーに参加すると、協賛企業のブースが出ていることも多いので、ぜひサンプルをいただいて実際に試食してみましょう!実体験に基づいたアドバイスには説得力があります。

 皆さんは家庭の台所で、1人分の介護食を作ることができますか?その際にどんな調理道具が必要でしょうか?そして、その調理器具は他の器具で代用することができますか?施設の厨房で専用の器具を使って介護食が作れても、在宅では通用しないことがたくさんあります。その方法は、講習会や学校に行かないとわからない情報ではなく、自分のための食事作りでも得ることができます。皆さんも是非、一度はご自宅で作ってみましょう!

廣木 奈津(ひろき なつ)

管理栄養士。博士(栄養学)。女子栄養大学卒業後、株式会社藍屋(現すかいらーく夢庵カンパニー)に就職。店舗副店長を経て1998年退社。その後有料老人ホームの栄養士を経験後、出産を機に退社、女子栄養大学大学院に入学。専門は介護食、高齢者栄養。社団法人全国調理職業訓練協会認定 介護食士認定講習会(香川栄養専門学校)調理実習講師。「最後まで口から元気に食べよう!」が献立作成のモットー。




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