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介護業界の現状について 認知症高齢者グループホーム ![]()
今回は、「認知症高齢者グループホーム」について紹介したいと思います。
「認知症高齢者グループホーム」は認知症対応型共同生活介護(以下、グループホーム)といい、認知症と診断された要介護者が共同生活を営む住居です。1985年頃にスウェーデンで生まれた手法で、認知症高齢者が地域の中で自分らしく生活できることを基本概念とし、1施設あたりの入居者の数を5人から9人と定めた小規模な生活の場です。実際に使われていた民家をちょっとリフォームし、グループホームとして使っている施設も多くあります。(写真1)グループホームでは、専門スタッフとともに食事の支度・掃除・洗濯等を共同で行います。このように、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより認知症の進行を緩やかにし、その人らしいこれまでの日常的な生活が継続できるように支援していきます。海外では、福祉先進国を中心にグループホームの取り組みが普及し、その効果も検証されてきました。 日本では、1994年に厚生労働省が「痴呆性老人対策に関する検討報告会」「高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略の見直し(新ゴールドプラン)」で全国8ヶ所を、グループホームモデル事業に指定しました。これを皮切りに、近年、新しい認知症のケア・サービスとしてグループホームは各地に設置されるようになりました。1999年12月に厚生労働省が打ち出した「今後5ヵ年間の高齢者保健福祉施策の方向(ゴールドプラン21)」では、2004年までに3200ヶ所に増設することを目標としていて、施設数についてはほぼ達成されました。しかし、250万人とも推定される認知症高齢者にとっては、約780人に1人しか利用できず、その対策は未だ十分とは言えません。 グループホームでは、生活そのものがリハビリです。普通の家のような建物で、普通の服を着て、普通の生活をします。「そんなの、当たり前じゃない!」と思われるでしょうが、かつては入居者全員同じ「つなぎ服」、なんて施設もありました。認知症のお年寄りの中には排泄に問題がある方もいます。ケアが行き届かないと、オムツを勝手にはずしたり、弄便(ろうべん、自分の便をいじってしまうこと)したりすることがあるので、これらを防ぐためというのがその理由でした。しかしケアの行き届いているグループホームでは、介護スタッフがさりげなくトイレ誘導をするため、24時間オムツを使用していた人が必要なくなった、という例も有ります。 掃除や洗濯は出来る人が無理のない範囲でします。(写真2)もちろん、出来ないところはスタッフが手伝います。ほとんどのグループホームが台所を備えているので、自分たちの食事も出来るだけ自分たちで作ります。認知症のため、最初から最後まで自分たちで料理を作り上げることは出来なくても、「野菜を包丁で切る」「皿に盛り付ける」「箸を配る」「買い物に行く」「皿洗いをする」・・・。食に関わる作業は沢山あります。そして、みんなで作った料理をみんなでそろって食堂で食べます。(写真3)かつては、大部屋のベッドの上で、パジャマのまま食べていた食事ですが、家庭であれば当たり前のことをするだけで、生活にメリハリが出来ます。そんな画期的な施設ですが、小規模であるため、残念ながら栄養士が在籍しているグループホームはほとんどありません。そこで、全国のグループホームに食事調査をしました。詳しい内容、結果はまたの機会にお伝えしますが、献立作成上の障害とされる点について質問した結果、献立作成が悩みであると答えた施設が78%あり、栄養価、料理の組み合わせなどが難しい理由としてあげられました。グループホームでは要介護者3人に対して介護職員が1人配置されており、人的に余裕があるように思われますが、日中は2〜3人、早朝、夜間は1人の職員で入居者の介護、記録、家事一切を抱えていると、献立作成の時間の確保は極めて難しいのが現状です。入居者のリハビリのためには調理作業が効果的であると書きましたが、対象者の身体レベルが下がって調理に参加できないといった問題、母体組織が献立を作成するため喫食者の要望を反映できない、という意見も寄せられました。グループホームでは介護福祉士、ホームヘルパーなどが食事に関わる作業を担っていますが、それら職員の養成課程では献立に関する講座が極めて少なく、介護技術の修得に偏っています。現場では献立作成の技術が必要であるため、今後は養成課程でのカリキュラムの改善が望まれます。
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