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介護業界の現状について 認知症と食事の関係 ![]()
今回は、「認知症」と食生活の関係について紹介したいと思います。
「認知症」の定義は多くの研究者によって様々に定義されています。ひとつには成人に起こる記憶及び知能の障害であり、脳器質性病変によって起こる情報処理機能の障害であり、また認知,記憶,判断,言語,感情,性格などの種々の精神機能が減退、または消失し、さらにその減退や消失が一過性でなく慢性に持続することによって日常生活や社会生活を営めなくなった状態をいうとしています。ちょっと固い表現ですね。つまり、脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力・性格などの障害がおこり、普通の社会生活がおくれなくなった状態といえます。 かつては「痴呆」や「ぼけ」と呼ばれ、「恥ずかしいこと」「隠すべきこと」とされてきました。近年、「認知症」と名称が変わってようやく疾病の一つと認められるようになってきました。また、「若年性アルツハイマー病」をテーマにした映画が大ヒットしたこともあり、認知症が高齢者だけの病気ではないことも知られてきました。現在、認知症患者の数は約250万人とも言われています。 「認知症」にはいくつか種類があり、代表的なものには「脳血管性認知症(多発性脳梗塞)」「アルツハイマー型認知症」「レビー小体病」などがあり、高齢者の認知症の9割を占めています。そのほかにも「ピック病」「クロイツフェルト・ヤコブ病」などがあります。 「脳血管性認知症(以下、VD)」は脳梗塞や脳内出血が起こることで、その部分の脳の働きが悪くなる病気です。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病、喫煙などが原因です。1980年代までは日本の認知症の75%ほどがこの病気でしたが、近年では医療技術や脳循環改善薬の向上により、ADの半分ほどまで減ってきました。 「アルツハイマー型認知症(以下、AD)」は認知症の中で一番多い疾患です。脳の神経細胞が急激に減って、脳が小さくなってしまう病気です。まだはっきりした原因、治療法はわかっていません。 さて、認知症と食事の関係ですが、VDについては前述したように生活習慣病が原因であることから、「塩分・糖分・脂肪の摂取を控えること」が予防策といえます。ADについては原因がわかっていないのですが、ADに罹患した人の生活習慣を分析したところ認知症のない人に比べて、「1. 魚の摂取量が少ない1)、2. 野菜・果物の摂取量が少ない2)」という報告があります。また、健康な高齢者を対象とした認知機能と摂取栄養素との関係を調べた疫学調査で、「1. ビタミンC、ビタミンE、β−カロテンなどの抗酸化物の欠乏、2. ビタミンB群(B2、B6、B12)、葉酸の欠乏3)、3. 亜鉛、鉄など微量の金属の欠乏、4. 脂質の過剰摂取4)」が挙げられています。 前述したように、従来日本ではVDが圧倒的に多く、ADが過半数を占める欧米先進国とはVDとADの比率は正反対でした。かつての日本でVDが多かった理由として塩分の過剰摂取が挙げられます。しかし、ADの発生率が低かった理由はわかっていません。近年、日本でもADの発生率が欧米と変わらなくなってきたことから、日本人の食生活の欧米化がAD発症の原因であると指摘されています5)。古来から日本では魚・野菜が中心の食生活でした。このことがADの発生率を抑えていたとも考えられます。これからは、和食が認知症予防の鍵になるかも知れませんね。 参考文献 1) Kalmijn S, Launer LJ, et al : Ann Neurol 42 : 776-782, 1997 2) Morris MC, Evans DA, et al : JAMA 287 : 3230-3237, 2002 3) 植木 彰 : 日老医誌 37 : 939-948, 2000 4) 植木 彰 : Cognition & Dementia 2 : 109-115, 2002 5) 大友英一 : 痴呆の鑑別と治療の手引き : pp.175-180 (2003)(株)ヴァンメディカル, 東京
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