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介護業界の現状について

介護食って?


廣木 奈津
博士(栄養学)。
社団法人全国調理職業訓練協会認定 介護食士認定講習会(香川栄養専門学校)調理実習講師。


 はじめまして!

 この度コラムを担当することになりました、廣木です。コラム初体験ですので、読みづらい点やわかりにくい点があるかと思いますが、ご容赦くださいませ。さて記念すべき1回目は、私の専門分野でもある『介護食』についてご紹介したいと思います。

 ご存知の通り、日本は世界一の長寿国です。1970年に高齢化社会、1994年には高齢社会、いよいよ2007年、今年には超高齢社会を迎えるであろうといわれ、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は20%を超える時代になりました。2050年には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になるであろうと推定されています。医療技術が発達し、かつては命を落としてしまっていた疾病でも生き永らえるようになりました。しかし、寝たきりや認知症など介護を必要とする高齢者も増えてきました。そういった常食(通常の食事)が食べられない高齢者や障害を持った人の為の食事が『介護食』です。

 『介護食』という言葉が言われるようになってからまだ10年足らずですが、それ以前から介護の現場では歯の悪い人の為の「きざみ食」や、飲み込みが悪い人の為の「ミキサー食」などの特別食が作られてきました。しかし、すべての食品を細かく切り刻んだりすりつぶしてしまったことで見た目や食感が悪くなり、食べ物のおいしさが損なわれたり食べにくさが生じたりしていました。また、誤嚥による肺炎で亡くなる人もいました。そこで、ゼラチンや寒天、片栗粉、「つなぎ」になる食品などを使って、プリンのような軟らかい固まりやとろみのある食事を作ることが考え出されました。

 日本介護食品協議会による「ユニバーサルデザインフード」(http://www.udf.jp/)では、食品を選択する際の目安として硬さや粘度により4段階に区分しています。 かつて、介護を必要とする人にとって食事は「単に栄養を摂取するための手段」だと考えられていました。そのため常食が食べられなくなると「きざみ食」や「ミキサー食」に移行し、それも食べにくくなると誤嚥のリスク回避のために「経管栄養」や「中心静脈栄養」へ安易に移行することも多く行なわれてきました。しかし、食事は人間にとって重要な楽しみの一つであり、QOL(生活の質)を高めるための大きな要素であるとして見直されてきました。また近年では、口から摂取し咀嚼することで脳内の血流量が増加し脳に良い刺激を与えるのではないか、という研究報告もあります。それだけ「口から食べる」ということには大きな意味があるのです。

 そこで登場してきたのが「介護食士」という資格です。皆さん、ご存知でしたか?(社)全国調理職業訓練協会が実施する「介護食士認定講習」では、実際に介護食の調理実習をし、試食することでそれぞれの食品に向いた調理法を理解します。同時に、高齢者や障害をもつ人の心理や生理を学び、安全で美味しい食事作りの基本技術を身につけ、介護の現場で個々の症状に対応した介護食が作れるようになることが目的です。介護保険対象のサービスの中には生活支援(家事援助)も含まれ、食事作りのニーズは非常に多く、ホームヘルパー、介護福祉士、栄養士の方々が多く受講しています。

 この講座で学んだ「介護食士」達は、それぞれの職場や家庭で介護食の裾野を広げています。次回からは、この介護食士たちが学ぶ内容の一部もご紹介しますのでお楽しみに・・・。


廣木 奈津(ひろき なつ)

博士(栄養学)。女子栄養大学卒業後、株式会社藍屋(現すかいらーく夢庵カンパニー)に就職。店舗副店長を経て1998年退社。その後有料老人ホームの栄養士を経験後、出産を機に退社、女子栄養大学大学院に入学。専門は介護食、高齢者栄養。社団法人全国調理職業訓練協会認定 介護食士認定講習会(香川栄養専門学校)調理実習講師。「最後まで口から元気に食べよう!」が献立作成のモットー。




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