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大学病院に勤める管理栄養士より

100円の価値


藤原 剛司
管理栄養士。岡山県立大学保健福祉学部栄養学科卒業後、医療法人社団桜水会 筑波病院勤務。2006年より筑波大学附属病院にて勤務。


 栄養士の仕事の一つでもある献立作成、その背景には栄養バランスは勿論のこと、色彩、季節感など様々な考慮がなされています。そのひとつに「価格」という要素が含まれているのはいうまでもありません。今回はそんな「価格」について、ふと私が気付いた事を書かせて頂こうと思います。

 机上で電卓を叩きながら、原価計算をしているとこれがなかなか思うような価格に収まらなかったりするのは、皆さんも経験があることだと思います。現場でも発注ミスにより量を多く取ってしまったり、患者様の食数が予想外に変動したりすると在庫をかかえたりしますし、日配など特に賞味期限の短い物には気を使います。

 家庭に目を向けると、仕事を終え、自宅に帰り冷蔵庫を開けると賞味期限が過ぎたものが何点かあることもしばしばあります。例えば、広告でキャベツが1玉150円を100円で特売していたとします。家庭の財布を任されている奥様方は喜び勇んで買い求めに行くわけです。33%引きで買い求めたのですから、全部使い切ればお得な買い物だったでしょう。

 しかし、例えば、1/3が腐って捨ててしまったら・・ それがもし半分腐ってしまったら・・

 こんなことは言わない方が家庭の為です。私も母親にはこんな事は口が裂けても言いませんし、こんな事をいっている人にお嫁さんは来てくれないでしょうから、例え結婚しても自分の奥さんには言いません。賞味期限が切れそうになっている物やダメになりそうなものから私が料理します。それが私の愛情です。しかし、いざ仕事の原価管理と在庫管理に繋げてみると、これが一番重要なのかもしれません。使う数量を良い品質で必要な分、できるだけ価格を抑えて確保する。案外、家庭の中に極意が隠されているのかもしれません。

 そしてもう一つ、価格に対して思うのはその「価値観」の違いです。昨今の原油高で、ガソリンの価格がどんどん上がっています。今朝、私がガソリンを入れた時は143円でした(平成20年1月23日現在、つくば市某所)。時々思うのですが、ガソリンの値段が1円上がるというと皆さん焦って給油しに行きますが、コンビニなどで150円のお茶をためらいなく買っていますよね。これも価値観の違いなのかもしれませんが、ガソリンより高いお茶をかなりの頻度で買っている人がいるのは不思議な光景だと個人的には感じてしまいます。

 逆に、100円でこんな物が買えるのかと驚く事もあります。

 皆さんも一度は行った事がある100円ショップでは、今現在、100円で揃わない物はないのではないかというほど品揃えが良くなっています。現在のアイテム数は、約90000種類以上あるそうです。また月に1000種類くらい新商品が作られている様で、お店に行くたびに新しい物が見つかり購買意欲もそそります。

 しかし、皆さんかなり衝動買いしませんか?100円だと思うと気軽にカゴの中に商品が入っていき、レジで気付くと意外と高い値段が財布から出ていく事を経験した人もいると思います。私も人のことは言えませんが、100円といわれると何となく安いイメージがあり、ついつい買いすぎてしまいますよね。そして、買った商品の中には、近くのスーパーなどでも100円以下で売られていたりするものもたまにあります。同じ100円でもその商品の質は若干異なるのかもしれません(個人の価値観や、その時の需要にもよりますが・・)。

 私たち栄養士の仕事の中にも必要な「質と価格のバランス」に繋がる物があると感じさせられます。たかが100円されど100円。今、あなたの100円の価値が問われているのかもしれません。


藤原 剛司 (ふじはら たけし)

管理栄養士。岡山県立大学保健福祉学部栄養学科卒業後、医療法人社団桜水会 筑波病院勤務。入院・外来栄養指導、病棟訪問、在宅訪問栄養指導、献立作成、調理業務等を担当。
2006年より筑波大学附属病院にて勤務。栄養指導業務、病棟訪問や公開型腎臓病教室などを担当している。日本褥瘡学会や日本病態栄養学会での発表など臨床の分野でも奮闘中。




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